助成金の申請

事業主が支払っている雇用保険料の一部は、助成金の原資となっています。

従業員の賢い雇い方

 雇用保険では、労働者の失業の予防、雇用機会の増大などを 図る事業主様に対して、雇用安定事業として助成金の支給を行っています。そして、この助成金支給のための原資に、もともと事業主様が支払っている雇用保険料の一部があてられているのです。

 つまり、各種の助成金の要件を満たす事業主様であれば、この助成金を受給しないことは「損」なのです。

 特にこれから、新たに労働者を採用しようと考えている事業主様や、優秀なパートタイマーを正社員として登用することを考えている事業主様は、せっかくの助成金制度の活用を視野に入れて「従業員の賢い雇い方」を検討すべきといえます。

労働者の新たな雇い入れに伴う助成金

トライアル雇用(試行雇用)奨励金

 一定の要件を満たした対象労働者をハローワークの紹介で原則3ヵ月間試行雇用した事業主様は、試行雇用期間に対応して、対象労働者1人あたり月額4万円(最大12万円)の奨励金を受け取れるというもの。労働者の適性や業務遂行能力などを実際に見極めた上で、トライアル雇用終了後に本採用するかどうかを決めることができます。対象労働者が母子家庭の母や父子家庭の父である場合や若者雇用促進法にもとづく認定事業主が35歳未満の対象者に対してトライアル雇用をする場合は一人につき5万円と加算があります。

人材の定着の確保と労働環境の向上のための助成金

職場定着支援助成金

 雇用管理制度の導入などを通じて従業員の離職率の低下に取り組む事業主に対して助成するもので、雇用管理改善を推進し、人材の定着・確保と、魅力ある職場の創出を目的としています。

 また、介護事業主が介護福祉機器を導入した場合や、保育分野及び介護分野における人材不足を解消するため、保育事業主や介護事業主が保育労働者または介護労働者の職場への定着促進に資する賃金制度の整備などを通じて、労働者の離職率の低下に取り組んだ場合も助成の対象となります。

Ⅰ 雇用管理制度コース

 新たに雇用管理制度の導入・実施を行った場合に制度導入助成(1制度につき10万円)が、支給され、雇用管理制度の適切な運用を経て従業員の離職率を低下させた場合に目標達成助成(57万円)が支給されます。

制度導入助成 目標達成助成
イ.評価・処遇制度 10万円 57万円
(生産性の要件を満たす場合は72万円)
ロ.研修制度
ハ.健康づくり制度
ニ.メンター制度
ホ.短時間正社員制度(保育事業主のみ)
【共通条件】
  • 1ヶ月前までに雇用管理制度整備計画を提出し認定を受ける
  • 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、現金出納帳、総勘定元帳法定帳簿を備えている
  • 労働法令に違反していない
  • 現地実施調査がある場合は受け入れる
  • 計画期間中解雇がない
  • 労働保険料を滞納していない
  • 制度導入においては、就業規則または労働協約に上記制度を新たに定め、実際にその制度を正規の労働者に実施すること
【制度について】
イ 評価・処遇制度
評価・処遇制度、昇進、昇格基準、賃金制度、諸手当制度のいずれかの制度を導入する。制度導入後の対象労働者の全員の賃金の合計額が低下していないことが必要です。
ロ 研修制度
職務の遂行に必要な能力等を付与するため、カリキュラム内容、時間等を定めた職業訓練、研修制度を導入すること。一人10時間以上の教育訓練であり、受講料や交通費等は全額事業主の負担であること。
ハ 健康づくり制度
法定健康診断以外の人間ドック、生活習慣病予防検診、腰痛健康診断のいずれかの制度を導入すること。
健康診断等により費用を要する場合は、半額以上事業主が負担することが必要です。
ニ メンター制度
キャリア形成上の課題及び職場における問題の解決を支援するため、メンター制度を導入すること。
メンター(先輩)に対し、民間団体等が実施するメンター研修等を受講させる必要があり、受講料や交通費等は全額会社の負担です。
ホ 短時間正社員制度(保育事業主のみ)
従業員の多様な働き方を推進するため、短時間正社員制度を導入すること

Ⅱ 介護福祉機器助成コース

 介護労働者の労働環境の改善の為、介護福祉器を導入した場合、助成金が受給できるもの。

【対象機器】
  • 移動・昇降用リフト(立位補助器を含む、人の移動に使用するものに限る)
  • 自動車用車イス(福祉車両の場合、本体を除いたリフト部分のみ)
  • エアーマット
  • 特殊浴槽(リフトと一体化しているものや取り付け可能なもの、側面が開閉可能なもの)
  • ストレチャー(入浴用に使用するものを含む、それ以外は昇降機能がついているもの)
【要件】
  • 導入機器の使用を徹底させるための研修
  • 導入機器の保守契約の締結又はメンテナンス
  • 介護技術に関する身体的負担軽減を図るための研修
  • 導入効果の把握
【支給額】
助成段階 支給額
機器導入助成 介護福祉機器の導入等に要した費用の25
(上限150万円)
目標達成助成 介護福祉機器の導入等に要した費用の20
(生産性要件を満たす場合35%)
(上限150万円)

Ⅲ 保育労働者雇用管理制度助成コース

 保育労働者の賃金制度整備を行い離職率の低下に取り組む場合に助成されます。

Ⅳ 介護労働者雇用管理制度助成金コース

 介護労働者の賃金制度整備を行い離職率の低下に取り組む場合に助成されます。

【保育/介護の共通条件】
  • 賃金制度を整備すること
  • 職務・職責・職能・資格等に応じた新たな賃金制度
  • すでに賃金制度がある場合には、さらに定期昇給制度を加えること
  • すでに賃金制度がある場合には、新たな客観的な職業能力評価基準に基づく賃金の格付けを導入する(介護事業主の場合はキャリア段位制度も含む)
  • すでに賃金制度がある場合には、新たな上位階層を設けること
【必要書類】
  • 整備した賃金規定、就業規則
  • 賃金制度の適用者名簿
  • 対象者の出勤簿、賃金台帳
  • 雇用契約書
【支給額】
助成金 支給額
制度整備助成金 50万円
目標達成助成金(1回) 57万円(生産性の要件を満たした場合72万円)
目標達成助成金(2回) 85.5万円(生産性の要件を満たした場合108万円)
建設業における若年労働者の雇用や技能向上に伴う助成金

建設労働者確保育成助成金

 中小建設事業主や中小建設事業主団体等が、建設労働者の雇用の改善や建設労働者の技能の向上等をはかるための取組みを行った場合に助成を受けることができます。

【主な受給要件】

 本助成金は、以下の(1)~(13)の助成コースから構成されており、助成コースごとに定められた措置を実施した場合に受給することができます。

(1)認定訓練コース(経費助成)
中小建設事業主又は中小建設事業主団体(職業訓練法人など)が、職業能力開発促進法による認定職業訓練(※1)を行うこと
※1 広域団体認定訓練助成金の支給または認定訓練助成事業補助金の交付を受けている認定職業訓練であることが必要です。
(2)認定訓練コース(賃金助成)
中小建設事業主が、雇用する建設労働者に対して、有給で認定職業訓練(※2)を受講させること
※2 人材開発支援助成金又はキャリアアップ助成金の支給を受けていることが必要です。
(3)技能実習コース(経費助成)(※3
中小建設事業主又は中小建設事業主団体
雇用する建設労働者(雇用保険被保険者に限る)に対して、技能実習を行うこと又は登録教習機関等で行う技能実習を受講させること
中小以外の建設事業主又は中小以外の建設事業主団体
雇用する女性の建設労働者(雇用保険被保険者に限る)に技能実習を行うこと又は登録教習機関等で行う技能実習を受講させること
(4)技能実習コース(賃金助成)(※3
中小建設事業主が、雇用する建設労働者(雇用保険被保険者に限る)に対して、技能実習を受講させること
※3 有給で技能実習を実施または受講させた事業主が対象となります。
(5)雇用管理制度助成コース(整備助成)
職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース)の制度導入助成及び目標達成助成を受けた中小建設事業主が、本コースが定める若年者及び女性の入職率に係る目標を達成すること
(6)登録基幹技能者の処遇向上支援助成コース(整備助成)
中小建設事業主が雇用する登録基幹技能者の賃金テーブル又は資格手当を増額改定すること
(7)若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(事業主経費助成)
建設事業主が、若年労働者及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行うこと
(8)若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(事業主団体経費助成)
建設事業主団体が、若年労働者及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行うこと
(9)若年・女性労働者向けトライアル雇用助成コース(整備助成)
中小建設事業主が若年者又は女性を建設技能労働者等として一定期間試行雇用し、トライアル雇用助成金の支給決定を受けたこと
(10)建設広域教育訓練コース(推進活動経費助成)
広域的職業訓練を実施する職業訓練法人が、建設工事における作業に係る職業訓練の推進のための活動を行うこと
(11)建設広域教育訓練コース(施設設置等経費助成)
広域的職業訓練を実施する職業訓練法人が、認定訓練の実施に必要な施設又は設備の設置又は整備を行うこと
(12)作業員宿舎等設置助成コース(経費助成)
中小建設事業主が、 被災三県(岩手県、宮城県、福島県)に所在する建設工事現場での作業員宿舎、作業員施設 、賃貸住宅(※4)( 以下「作業員宿舎等」という)の賃借により、作業員宿舎等の整備を行うこと
※4 賃貸住宅は被災三県に雇用保険適用事業所を有する中小事業主が建設労働者を遠隔地より新たに採用する場合に限る。
(13)女性専用作業員施設設置助成コース(経費助成)
中小元方建設事業主が自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借により整備を行うこと
非正規雇用労働者のキャリアップ

キャリアップ助成金

 有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下「有期契約労働者等」という)の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。

 キャリアップ助成金は、正社員化コース、人材育成コース、賃金規定等改定コース、健康診断コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度等共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コースと8つのコースがあります。

 人気の高いコースの概略を紹介します。

正社員化コース

 有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用

1 有期  正規 一人当たり 57 万円 < 72 万円>
2 有期  無期 一人当たり 285,000 円 < 36 万円>
3 無期  正規 一人当たり 285,000 円 <36万円>

<1~3合わせて1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は15人まで>
※<>は生産性の要件をみたした場合。大企業の場合は助成額が下がります。

人材育成コース

 有期契約労働者等に次の訓練を実施した場合に助成

一般職業訓練 育児休業中訓練、中長期的キャリア形成訓練を含む
有期実習型訓練 「ジョブ・カード」を活用したOFF-JTとOJTを組み合わせた3か月~6カ月の職業訓練)
OFF-JT分の支給額

 賃金助成:1人1時間当たり760円<960円>
 経費助成:実費助成※訓練時間数に応じて一人当たり次の額を限度

一般・有期実習型
育児休業訓練
中長期的キャリア
形成訓練
有期実習型訓練後に
正規雇用等に
転換された場合
100時間未満 10万円 15万円 15万円
100時間以上200時間未満 20万円 30万円 30万円
200時間以上 30万円 50万円 50万円

※育児休業中訓練は経費助成のみ

OJT分の支給額

 実施助成:1人1時間当たり760円<960円>
 <1年度1事業所当たりの支給限度額は1,000万円>
 ※<>は生産性の要件をみたした場合。大企業の場合は助成額が下がります。

労働者の能力開発に伴う助成金

人材開発支助成金(旧キャリア形成助成金)

 中小企業で雇用する労働者を対象として、キャリア形成の効果的な促進のために職業能力開発計画などに基づいて知識・技能を習得させる事業主様に助成されるものです。

 具体的には、従業員の職業能力開発についての計画に基づいて訓練などを行った事業主に対して訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

Ⅰ 特定訓練コース

  • 職業能力開発促進センター等が実施する在職者訓練(高度職業訓練)、事業分野別指針に定められた事項に関する訓練 、専門実践教育訓練、生産性向上人材育成支援センターが実施する訓練等
  • 採用5年以内で、 35 歳未満の若年労働者への訓練
  • 熟練技能者の指導力強化、技能承継のための訓練、認定職業訓練
  • 海外関連業務に従事する人材育成のための訓練
  • 厚生労働大臣の認定を受けた OJT 付き訓練
  • 直近2年間に継続して正規雇用の経験のない中高年齢新規雇用者等( 45 歳以上)を対象とした OJT 付き訓練

Ⅱ 一般訓練コース

  • 特定訓練コース以外の訓練に対して助成

Ⅲ キャリア形成支援制度導入コース

  • セルフ・キャリアドック制度を導入し、実施した場合に助成
  • 教育訓練休暇等制度または教育訓練短時間勤務制度を導入し、実施した場合に助成

Ⅳ 職業能力検定制度導入コース

  • 技能検定に合格した従業員に報奨金を支給する制度を導入し、実施した場合に助成
  • 社内検定制度を導入し、実施した場合に助成
  • 業界検定制度を作成し、構成事業主の労働者に当該検定を受検させた場合に助成(事業主団体等のみ対象)

 例えば、グローバル競争が激化する中で海外関連業務の人材育成を図りたい事業主様や、介護関連の労働者に介護福祉士ないし社会福祉士などを取得してほしい事業主様は、この助成金の活用が可能です。

いずれの助成金も事前の計画的な準備が大切

 この他にも助成金には様々な種類があり、それぞれ適用され るための細かな要件があり、申請手続きも煩雑です。そして、いずれの助成金も事前の計画的な準備が大切となります。

 せっかく、対象となる雇い入れや雇用管理の改善を行ったとしても、ちょっとした手順の違いで不支給となってしまうケースがあります。助成金の受給手続きについては、事前に当事務所へご相談ください。

ご利用料金の目安

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